ダムについて
 川などをせき止めて水を貯める為の設備をダムと言います。
 ですが河川法では提体が15m以下の物はダムではなく堰と言います。
 またダムには貯水以外にも土砂などを貯める砂防ダムなどもあります。
ダムの役割
 大雨や台風の時に一時的に貯水して下流への氾濫を防止する。
 渇水時に貯水した水を利用して被害を軽減する。
 貯水した水を流したエネルギーを利用して発電する水力発電。
ダム用語
ダム本体の用語
提体 ダム本体を提体(ていたい)と言います
提高 ダム本体の基礎地盤から提体の一番上までの高さです
天端 提体の一番上の通路を天端(てんば)と言います
提長 天端の両岸からの長さを提長と言います
提頂 提体の一番上です 一般的にクレストと言います
取水塔 発電などの為に水を取り込む設備です
インクライン 提体に設けられた物資運搬用の設備です
キャットウォーク 提体に設けられた点検用の通路です
減勢工 放水時の水の勢いを弱める設備です
放流設備の用語
常用洪水吐 通常時の洪水調節などの放流設備です
非常用洪水吐 クレスト部に設置されている貯水量オーバー時の放流設備です
自然越流式 一定の水量を越えると自動的に流れ出す仕組みの放流設備です
ゲート式 ゲート(水門)により流れ出る水量を調節する事ができる放流設備です
クレストゲート 提頂部に設けられたゲートの事です
オリフィスゲート 提体の中央部に設けられたゲートの事です
コンジットゲート 提体の下部に設けられたゲートの事です
ラジアルゲート 扇型の支点を回転するように開閉するゲートです ローラー式より水圧に耐えれます
ローラーゲート ローラーの付いた鉄板を上下に稼動して開閉するゲートです
ダムの種類
■ 重力式コンクリートダム
   貯水している水の水圧を提体の重さで支える構造のダムです。
   単純な構造のダムなので比較的大きなダムも作りやすく、
   基礎地盤の強度もある程度あれば大丈夫といったメリットがあります。
   大量のコンクリートを使用して工期が長いといったデメリットもあります。
   昭和以降に作られたダムではもっとも多い構造です。

■ 中空重力式コンクリートダム
   貯水している水の水圧を提体の重さで支える構造のダムです。
   昭和40年代まではセメントの価格が高かったので提体内に空洞を
   作り使用するセメントを節約する為の構造でしたが、近年はセメントの
   価格のほうが人件費より安いので複雑な中空構造は採用されなくなりました。

■ アーチ式コンクリートダム
   貯水している水の水圧を両岸と底部の地盤で支える構造のダムです。
   提体の断面は円弧を描いており水圧は提体を伝わって両岸や地盤に
   吸収される構造により薄い提体で大幅にコンクリート量を節約できる。
   反面、建設地は非常に強固な地盤を持つ峡谷に限られます。

■ ゾーン方式ロックフィルダム
   岩と粘土質の土を積み上げて作られた構造のダムです。
   真ん中のコアゾーンと呼ばれる粘土質の土で水を遮水して、
   コアゾーンをロックゾーンと呼ばれる岩の山で支えてます。
   コアとロックの間にはフィルターゾーンと呼ばれる、
   砂の層がありコアより土が漏れ出すのを防いでます。
   建設材料が付近の山より調達できるの安価で巨大なダムも作れます。

■ 表面遮水壁式ロックフィルダム
   コンクリートやアスファルトにより提体表面で遮水する構造のダムです。
   提体表面に遮水壁があるので施工やメンテナンスが容易です。

■ アースダム
   土などの等質の材料を積み上げた構造のダムです。
   構造が簡単で施工がしやすい上に安価で施工する事が出来ます。
   ですが大規模なダムに適さず、日本で40m程度までと決められています。

■ 重力式アーチダム
   重力式とアーチ式の両方の特性を備えた構造のダムです。

■ マルチプルアーチダム
   複数のアーチ式ダムを横に繋げた構造のダムです。

■ バットレス式ダム
   水圧を受ける鉄筋コンクリートの板をバットレスと呼ばれる扶壁と柱で支える構造のダムです。

■ 複合ダム(コンバインダム)
   建設地の左岸、右岸の強度が異なる場合などに採用される構造のダムです。
   一般的には重力式コンクリートダムとロックフィルダムのつなぎ合わせとなります。